DCF法の計算式(不動産や株式の資産価値を評価するツール)

※以前別の場所で書いた文章を備忘的に書き記しておきます。

【投稿年月日】2008-04-21 【ジャンル】提供サービス

 不動産や株式の資産価値をDCF法で簡易評価するツールを公開しました。

DCF法の計算式
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DCF法の計算式

 主な特徴は以下の通り。
  1. 年間総収入を入力するだけで資産価値を簡易評価します。
  2. 投資収益率(*割引率)や投資期間の変動シミュレーションを自動計算します。
  3. 投資額や残存価値等を入力すると、投資損益(*NPV:正味現在価値)や収益率(*IRR:内部収益率)など、より詳細な計算結果が得られます。
  4. 入力単位を円・万円・億円・兆円・京円・垓円から選べます。

 最大の特徴は、年間総収入を入力するだけで、資産価値が簡易評価できるという手軽さです。
 例えば年間総収入に「100万円」と入力して計算した場合、資産価値は432万円と評価されます。(*入力項目が空白の場合、投資収益率は5%、投資期間は5年という基準値を、その他については0を自動選択)

【入力画面】

年間総収入100万円1

【計算結果画面】

年間総収入100万円2

 もちろん、投資収益率(*割引率)や投資期間は資産ごとに異なるので基準値を一律使用する弊害はありますし、また、残存価値や年間総収入に対する支出割合が入力されていないので、実態とは大きくかけ離れた結果が算出される可能性があります。
 ただ、そういった投資収益率や投資期間などの諸条件を見積もることに慣れていない、あるいは見積もるのが面倒臭いというケースが多々ありそうなので、このように正確性を犠牲にして利便性を最優先する使い方もありなのかな、と考えています。(そもそもDCF法の結果そのものが、投資収益率の設定しだいで大きく変わるものなので、厳密な正確性を求めても仕方ないという側面がありますし)

 使い方ですが、具体的な例を挙げます。

1.不動産投資のケース

 年間総収入が120万円(10万円×12ヶ月)の築20年の中古マンションを1,000万円で購入。投資収益率は築年数等のリスクを考慮して7%(基準値5%+2%)に、年間総収入に対する支出割合は20%に設定。5年後に800万円で売却見込みのケースでは、以下の数値を入力します。

【計算結果(*投資期間5年の場合)】

不動産投資のケース1
 資産価値は964万円と評価され、投資額を35万円下回っています。これでは投資効率が悪いので、投資期間を10年に変更して再度計算してみます。

【計算結果(*投資期間10年の場合)】

不動産投資のケース2
 資産価値は1,080万円と評価され、投資額を80万円上回っています。と言うわけで、10年後に売却する方が有利なことが分かりました。(*ただし、建物の老朽化が進んでいるので、売却価格が800万円を下回る可能性がありますが)

2.株式投資のケース

 配当年額が5万円の、成長が見込める一部上場企業の株式を500万円で購入。投資収益率は株価変動リスク等を考慮して15%(基準値5%+10%)に、配当年額に対する支出割合は20%に設定。1年以内に600万円で売却見込みのケースでは、以下の数値を入力します。

【計算結果(*投資期間1年の場合)】

株式投資のケース1
 資産価値は525万円と評価され、投資額を25万円上回っています。試しに投資期間を2年に変更して再度計算してみます。

【計算結果(*投資期間2年の場合)】

株式投資のケース2
 資産価値は460万円と評価され、投資額を39万円下回ってしまいました。と言うわけなので、この場合は投資期間が短い方が有利なことが分かりました。



 ところで、DCF法では上記 「1.不動産投資」や「2.株式投資」のケースのように、投資期間に応じて資産価値が変動します。この「DCF法の計算式」では、投資収益率だけでなく、投資期間の変動シミュレーションも自動表示されるので、どのように変化するのか確認しやすいかと思われます。
 DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)。
 収益還元法の一つで、資産価値を収益面から見る手法。将来見込まれる純収益(キャッシュフロー・現金収支)の合計額を、現在の値打ちに引き戻した(=還元した)もの。
 投資期間内に得られる純収益の合計額と、投資期間終了時における見込み売却価格を基にして算出する。
 DCF法における期間の概念について理解を深めるために、取り合えず解説を書いてみましたが、一読しただけでは分かりづらいですね。。(※「DCF法の計算式をPHPで書いてみる」にて少し掘り下げてみました)

 「DCF法の計算式」は公開されたばかりで発展途上の段階ですが、様々な使い方ができます。より良いツールに育てていきたいので、不都合や要望等がございましたら、お気軽にコメントをお願いします。


【追記1】

 計算方法に誤りが見つかったので「DCF法の計算式」のプログラムを修正した上で、当エントリーの記述も訂正しました。(2008-04-22)

【追記2】

 関連エントリーとして「DCF法の計算式をPHPで書いてみる」を公開しました。(2008-04-23)

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