EDIUNET.COMマイ決算書の利用例(日亜化学工業)
※以前別の場所で書いた文章を備忘的に書き記しておきます。
【投稿年月日】2009-04-20 【ジャンル】EDIUNET
EDIUNET.COMのマイ決算書の具体的な利用例として、「マイページ機能の追加 (EDIUNET) 」においてサンプル入力した日亜化学工業を取り上げてみることにします。日亜化学工業:財務診断レポート
日亜化学工業 (*マイ決算書):財務診断レポート-EDIUNET.COMediunet.com/company/057/
財務診断レポートより、5種類の企業価値や期待収益率を簡易的に推測することができますし、期待収益率や成長率を変動させることで企業価値を独自に再計算することもできます。
なお、財務診断レポートでは、この他に財務ランクや信用格付け、Uチャートといった財務分析結果を一気に確認することができます。財務ランク(AA)や信用格付け(A)により、財務内容の優秀さが予想されます。
ところで、5種類の企業価値のうち、収益価値が純資産に比べて低く感じるのは、Uチャートという円グラフを確認することにより、
- 純資産が毎年増加しているにもかかわらず、
- 当期純利益が毎年減少している
日亜化学工業:Uチャート分析
日亜化学工業 (*マイ決算書):Uチャート分析-EDIUNET.COMediunet.com/company/057/1/
貸借対照表は、純資産(黄色)の占める割合が高く、文句なしの財務内容と言えます。
損益計算書では様子が異なります。
売上高(赤色)は増加基調にありますが、当期純利益(紫色)は年々減少しています。売上原価(灰色)の増加がとても気になります。
キャッシュフロー計算書でも変調をきたしています。
本業の稼ぎを示す営業キャッシュフロー(赤色)が急減しています。そのため、毎年一定額の投資キャッシュフロー(黄色)を、営業キャッシュフローのプラスでまかなっているのですが、2007年と2008年は、営業キャッシュフローが落ち込んだため、財務キャッシュフロー(青色)に大きく依存しています。
貸借対照表のUチャートを見る限り、負債が増加している気配はないので、2年連続で増資しているであろうことが容易に分かります。
当期純利益や営業キャッシュフローが減少する中、潤沢な現預金等を保有するにもかかわらず、増資に踏み切ったのは、
- 業界内で競争が激烈である、
- 投資計画が失敗(余剰資産の発生)した、
- 株式上場を視野に入れている
このように貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の3つのUチャート(円グラフ)を5期分並べることで、直観的に経営状況を予測することが可能です。もちろん、大雑把な分析なので欠点も多々ありますが、財務分析の取りかかりとしては有効な手法だと感じています。
日亜化学工業:決算リスク分析
日亜化学工業 (*マイ決算書):決算リスク分析-EDIUNET.COMediunet.com/company/057/2/
財務内容が非常に素晴らしいのにもかかわらず、信用格付けが最高の格付け(AAA)ではなく、上から3番目のA(信用力は高いが、事業環境等による影響を受けやすい)なのは、決算リスク診断の特記事項にあるように、
- 当期純利益が4期連続で減っているので、経営リスクが高い状況にあります。
日亜化学工業:財務ランク分析
日亜化学工業 (*マイ決算書):財務ランク分析-EDIUNET.COMediunet.com/company/057/3/
財務ランク分析は、日本の上場会社3,865社の各財務指標のランキングに対応しているので、上場会社を基準として分析することが可能です。
総合評価はAA(財務成績は非常に優秀)と非常に高く、上場会社のトップ集団に近いことが分かります。
ところが内訳を見ると、収益性と経営の成長性が弱いようです。
収益性について検討してみます。
2007年から2008年にかけて、C/FマージンとROEの落ち込みが目立ちます。明らかに経営効率が落ちています。
日亜化学工業 + Cree Inc:Uチャート分析
日亜化学工業 + Cree Inc:Uチャート分析-EDIUNET.COMediunet.com/company/057+cree/
日亜化学工業のライバルと言われる Cree Inc と比較してみましょう。この Cree Inc の子会社である Cree Lightning Co. には、元日亜化学工業の研究者である中村修二氏が非常勤研究員として在籍している(していた?)ようです。
幸いなことに、Cree Inc はNasdaqに上場しており、EDIUNET.COMに財務データが登録されているので、簡単に比較することができます。なお、財務データはアメリカドルで登録されていますが、EDIUNET.COMの通貨自動変換機能を使うことにより為替の差異を感じることなく分析することが可能です。
両社共に、純資産(黄色)の占める割合が高く、財務内容は非常に良好であると言えます。ただし、日亜化学工業が圧倒的な規模を誇っていますが。
ちなみに、Cree Inc は無形固定資産(エメラルドグリーン)の動向から、2007年と2008年に連続して会社を買収しているようです。業務内容から特許権という可能性もありますが、買収に伴なう営業権(のれん)なのではないでしょうか。
興味がある方は、EDGARにてアニュアルレポートをご覧ください。(英語ということもあり、私は調べていませんが…)
www.sec.gov/cgi-bin/browse-idea?action=getcompa...
両社共に、売上高(赤色)が増加傾向にありますが、当期純利益の占める割合は低下傾向にあります。当期純利益の落ち込み方は、日亜化学工業の方が激しいです。
日亜化学工業については前述したので、Cree Inc について見てみます。
2007年までは、Uチャートの円の大きさは一定しませんが、色の分布はほぼ一定しています。本業で稼いだ営業キャッシュフロー(赤色)を、投資キャッシュフロー(黄色)に回すというサイクルが確立しています。
ところが、2008年では一転して、投資キャッシュフロー(黄色)がUチャートの右側になり、Uチャートの左側全てが現預金等の純増減額(水色)によって占められます。これはどういうことかと言うと、
- 手持ちの固定資産を売却してキャッシュ化し、
- 本業で稼い分を含め、全てのキャッシュを内部に留保した
なお、本業の稼ぎを示す営業キャッシュフローですが、2006年までは日亜化学工業が Cree Inc を圧倒していましたが、2007年以降、その立場は逆転しています。
おわりに
以上のようにEDIUNET.COMで決算書を入力することにより、どのような企業でも手軽に財務分析ができます。今回はEDIUNET.COMに登録されているCree Inc というアメリカ市場の上場企業を比較対象にしましたが、もちろん独自に入力した決算書と比較することも可能です。また、日亜化学工業のような日本の企業だけでなく、外国企業の決算書を入力することも可能です。機会があれば、次回は外国企業の決算書を入力&分析してみることにします。
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